2009年2月1日日曜日

「石油枯渇のリスクは地下ではなく、地上にある」(IEA事務局長田中伸男氏)

一昨日の日経夕刊「あすへの話題」で田中氏とアル・ゴア元米副大統領のやりとりが紹介されていたのでメモ。

要旨:
  • ゴア:IEAの見通しはたいへん優れている。ピークオイルだな。
  • 田中:それは少し違います。(ピークオイルとは既存の油田はすでに生産のピークを過ぎているという説)
  • ゴア:IEAによれば現在の生産量を維持するだけで2030年までにサウジアラビア四つ分の原油生産能力がいるのだろう。世界のどこにサウジが四つもあるのか。
  • 実はあるのだ。中東にはまだまだ開発の容易な油田がまだたくさんある。カナダのオイルサンド、ベネズエラの重質油、カスピ海、ブラジル沖、北極海にも。さらに石炭液化技術もある。深海メタンハイドレート石油埋蔵量の50倍もある。
  • 問題はコスト。オイルサンドはバレル40−80ドル。石炭液化で40−120ドル。メタンハイドレートはもっと高い。
  • 石油価格がじゅうぶん高いという見通しがないと投資が起こらない。一部の産油国は技術と資本を持つ国際石油資本の制限している。石油枯渇のリスクは地下ではなく、地上にある。

人間は昔から終末論が好き。石油についてもあと10年で枯渇するとこの50年言われ続けてきた。少子高齢化で働き手がなくなってしまうというニッポン終焉論や(いま多すぎて困っている)、地球温暖化はなんとしても防止せんやいかんという議論や(アメリカはいま寒波でたいへんらしい)、外来動植物によりニッポンの環境は破滅してしまうという「エコ」議論(馬、鯉、イモ、コメなど全部外来のもの)など思いこみの強い主張は、これと同じことではないか。

IEAの事務局長が日本人だとは知らなかった。こういう人:
EICネット[国内ニュース - 次期IEA事務局長に、田中伸男・OECD科学技術産業局長が選出]: "今回次期事務局長に選出された田中伸男氏は1950年生まれの56歳。1973年に通商産業省に入省し、在米日本大使館公使や通商機構部長などを経てOECD科学技術産業局長に就任した経歴の持ち主。田中氏の事務局長として任期は07年9月から。【外務省】"

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

今朝の日経で「地球温暖化学説は間違い」との趣旨の記事が出ていた。池田信夫ブログでも記事のグラフ入りで紹介されている:

地球は寒冷化している - 池田信夫 blog

温暖化信者はこういう学説を絶対に認めないだろうが、われわれは今まで何をやって来たのだろう。